中城湾港泡瀬地区埋め立て現場を見学してきました。
1/19 2023
沖縄本島の東海岸に位置する沖縄市泡瀬では、沖縄県本島中部圏東海岸の活性化を図るため、中城湾港泡瀬地区の、人工島の埋め立て工事が進められています。今回は港湾工学の講義で沖縄総合事務局さんの引率で行われた泡瀬埋め立て現場見学に,私たち水圏環境工学研究室のメンバーも参加させていただきました。
人工島の埋め立て現場へは橋を通り向かいました。泡瀬の海岸には県内最大級の干潟で多様な生物の生息地となっている泡瀬干潟が分布しており、この泡瀬干潟の上を通り人工島へ渡ります。今回見学した泡瀬埋め立て現場では、泡瀬干潟等の周辺環境への影響を少なくするために人工島の出島方式の埋め立てが採用されました。
橋から人工島への入り口付近では、本研究室の研究対象にもなっている袋詰玉石工が見られました。
1箇所目の見学場所では、軽石と浚渫土砂の混合・攪拌の様子を見学しました。沖縄県では2021年10月ごろから小笠原諸島近海の海底火山噴火に由来する大量の軽石漂着が問題となり、その処分方法として泡瀬地区への埋立処分が検討されてきました。Photo 4 は2021年10月に私たちの研究室による本部半島軽石調査で撮影した軽石です。Photo 5 は埋立処分のために浚渫土砂と混合・攪拌された混合土砂です。混合土砂は軽石が混ぜられているのかを見た目では判断できないほど細かくなっていましたが、触ってみると重さが若干軽いことと乾燥している感触から軽石が混合されていることを確認できました。また、軽石単体では所要の強度が確保できないため、浚渫土と混合し所要の強度を満たしたうえで埋立処分が行われています。
Photo 6 はスタビライザーによる軽石の攪拌作業の様子です。盛り土の高さは60cmで、地面から高さ30cmが浚渫土砂、その上の高さ30cmに軽石が盛られており、体積割合1:1の土砂をスタビライザーで攪拌しています。
スタビライザーにより混合・攪拌された混合土砂は埋め立て現場のシルト質土壌(Photo 7 奥側)の上に敷きならされます。シルト質土壌は弱いため、重機を用いた作業をすることが出来ません。軽石との混合土砂をその上に盛ることで重機による作業が可能になり、同時に軽石の処分ができます。
2箇所目は人工島の東側に移動し、浚渫土砂の圧送作業の様子を見学しました。Photo 8 の中央に見える船がサンドポンプ船です。浚渫船から運び込まれた浚渫土砂はPhoto 8 の右側に向かって伸びるパイプを通って埋め立て現場に運ばれます。1日に最大で大型バス50台分の土砂が運ばれるため、1日で埋め立て現場は様変わりするらしいです。
浚渫土砂は海水による圧送によって運ばれます。圧送により用いられた海水は排水されますが、サンドポンプ船に再びくみ上げられ循環し、繰り返し土砂の圧送に用いられます。Photo 10 は土砂圧送用海水の排水の様子です。排水の様子は迫力がありました。
今回は人工島の埋め立て現場の見学という貴重な体験をすることが出来ました。今回の現場見学までは埋め立て工事は船で海上に運んだ土砂を海の中に盛り固めていくものだと思っていましたしたが、土砂の運搬が水の圧力によって行われているという意外な事実を知ることができ、面白かったです。また、沖縄県で問題となっている軽石の処分と埋め立てが同時に進められていることから、土木構造物の建設工事は構造物自体が完成し供用される前にも様々な効果や役割をもたらしていることを実感することができました。