沖縄北部河川・海岸調査に行ってきました
3/19 2021
2021年3月19日に研究室のメンバーで沖縄県北部のダムと河川の現地調査を行い、源河川、大保ダム、福地ダム、平良ビーチ、慶佐次川(マングローブ)、スクバマ(東村慶佐次)を巡った。
源河川河口
最初に源河川の河口付近に到着し橋の上から観察を行った。
橋の上から河口側の河床を覗くと下の動画のように色がこげ茶の部分と薄い茶色の部分があり、はっきりとした境界で分かれていた。こげ茶の部分は石、薄い茶色の部分は砂になっており、おそらく川から運ばれた石と海から運ばれた砂の境界になっていると思われる。上流側を覗くと、流路はカーブが描かれておりカーブの内側から外側にかけて水深が深くなっていたこれは遠心力により外側の流速が速くなり、外側の河床が掘られる為だと思われる。またカーブの外側にいくにつれて河床の石が大きくなっており、このことからもカーブの外側のほうが流速が大きいことがわかった。
水位観測計設置個所下流の河道状況
超音波を使った水位観測、防災・避難判断などに使われる。
続いて少し上流に行って川に降りてみました。
常流、射流が生じており、水深が浅く流れが速い「瀬」と、水深が深く流れが遅い「淵」を確認することが出来た。
源河川の上流側では覆瓦構造がみられた。覆瓦構造とは河川の流れにより、石が流向をむくことであり、この覆瓦構造により河川を上流へ上るよりも下流へ下る方が歩きやすく感じる。
大保ダム
源河川の上流を観察した後に大保ダムへ向かった。大保ダムは沖縄県で2番目に大きなダムで、重力式コンクリート型式の本ダムとロックフィル型式の脇ダムと、沢処理工が施された部分の3つの構成が貯水面に面している珍しい形式のダムである。
大保ダム(脇ダム)
福地ダム
福地ダムはロックフィルダムです。総貯水容量は沖縄県内最大です。福地ダムは、新川ダム、安波ダム、普久川ダム及び辺野喜ダムの東系列5ダムと連携している多目的ダムです。福地ダムには洪水調節機能として下流だけでなく上流側にも洪水吐が設けられている珍しいダムで、上流側の洪水吐は、サイフォンの原理を利用して直接海に放流されます。
平良ビーチ
写真は平良ビーチ 見えづらいが人工リーフによる海岸保全が行われている。海面下にあり景観に配慮されている。
慶佐次川ヒルギ公園マングローブ
慶佐次湾に位置するマングローブ林であり、沖縄本島では最大規模である。 片手だけ大きいという特徴を持つ蟹のシオマネキを見ることが出来た。
スクバマ(慶佐次川河口付近)
慶佐次川河口の近くにあるスクバマと呼ばれる海岸が最後の観察箇所となった。スクバマでは褶曲という曲がった地層がみられ、褶曲とは地震やプレート運動などにより地層に大きな力がかかり地層が曲がる現象であり、スクバマでは幅20メートルほどの砂浜を海と褶曲した岩が挟むようにして海岸を形成していた。また、干潮付近の時刻に観察したため、海側の干上がった部分にも褶曲がみられた。この褶曲は西海岸よりも東海岸のほうか多く見られるような気がする。
感想
紹介した場所以外でも様々な地形や構造物を観察することが出来た。学校での授業で教科書の写真や図をみて勉強することも大事だが、実際に自分の足で現地に赴き、自分の目で地形や構造物を観察し知識と照らし合わせたり、新たな疑問を持つことも同じくらい大切なことだということを感じた。また、今回のような調査の場でなくとも普段の生活から土木構造物や地形を観察し、考察をすることで土木の知識を深めていきたい。
今回の調査で訪れた場所は、全て、訪れたことが無い場所だった。沖縄の自然環境や構造物を知るための良い機会になった。調べれば、映像や写真などで大抵のものは見ることはできるが、現場でないと見ることが出来ないものもあるのだなと感じた。部屋にこもって計算をするだけでなく、現場に出て、そこでは何が起こっているのか知ることも同じくらい重要であると思った。
初めて、直接川に出向くなどのフィールドワークを行った。源河川では水工学で教わった覆⽡構造などを直に体験することができた。ダムでは沖縄の歴史的背景を知るとともに洪水調節機能などのしくみを理解することができた。沖縄の大自然のなかで、構造物が私たちの生活を支えていると感じた。